Story

日本には“S”と呼ばれる警察の特殊部隊が存在する。犯人を殺してでも国家の安全を守る「制圧」か、どんな凶悪犯であっても殺さない「確保」か―――理想を違える2つの警察特殊部隊が、衝突を繰り返しながらも、自らの信念のもと、凶悪事件に立ち向かっていく………


  • 「S」を書くきっかけの一つになったのはある被害者の言葉だった。子供の命を理不尽に奪った犯人を死刑にする事だけを考えて生きて来た両親、ついに犯人が死刑になった後、心の中にぽっかりと穴が開いた……。この時初めて本当の意味での終身刑を考えるようになった――――

    犯人に望む事。「生きて償いを」。こんな言葉が被害者の口から出る。その事実に僕は呆然とした。小さくてか細くて消え入りそうな声。だが、僕はその声にもっと真摯に耳を傾けるべきだと思った。

    この作品にはある日突然、大切な人を理不尽に奪われたという同じ過去を背負った二人の若者が登場する。二人はやがて警察官となり、特殊部隊員となった。まるで双子のような存在。なのに二人は、罪を犯した者に対してまったく違う想いを抱くに至る。NPSに所属する神御蔵一號は犯人に対し、自分の生涯を以って罪を償わせようと考える。一方、SATに所属する蘇我伊織は犯人に対し、自分の命を以って罪を償わせようと考える。二人の信条はそのまま部隊の信条と重なり、NPSはいかなる凶悪犯であっても生かしたままの「確保」を目指し、SATは速やかな治安の回復の妨げになるようならば、犯人を殺してでも構わないという「制圧」を掲げる。

    「生きて償う」か「死んで償う」か。この物語のテーマは贖罪だ。贖罪に対して全く正反対の考え方を持つ二人が、警察官として、特殊部隊員として、様々な現場に直面してぶつかり合い、もがき、苦しみ、時に光を見い出す―――と、こんな風に書けばただ重苦しいテーマを引き摺った作品のように思われるかもしれない。だが、それだけの作品にはしたくない。日本警察における初の特殊部隊アクションを全開にしたエンターテインメント作品を目指し、僕もまた一號や伊織と同じように、迷いながらも一歩一歩進んでいる状態である。

    「Sエス-最後の警官-」原作・小森陽一


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