Draft

※草案のため、登場人物の名前が連載作品とは異なる場合もございますが、あえて訂正せず草案をそのまま掲載しております。

大和ジム 外観(朝)

大通りから一つ入った小道にある古びたボクシングジム。


同 ジム内

掃除をしている若者達、

  • 神御蔵
  • 「(入って来て)おいっす!」
  • 選手
  • 「(驚いて)あれ………?先輩、入院したんじゃ………」
  • 神御蔵
  • 「入院?バカぁ、お泊りだよ、お泊り」
  • 選手a
  • 「お泊り………?」
  • 選手b
  • 「先輩に女なんかいたっけ?」
  • 吉塚
  • 「(声)ミクラス」
  • 神御蔵
  • 「お疲れっす。昨日は―――」
  • 吉塚
  • 「会長がお呼びだ」
  • 神御蔵
  • 「会長が………?なんすか?」
  • 吉塚
  • 「知らん」

それだけ言うと奥の部屋へと引っ込む吉塚、

  • 選手a
  • 「吉塚さん、昨日から異様に機嫌悪いんすよね………」
  • 神御蔵
  • 『また負けちまったからな………』

グローブを外し、2階へと続く階段を上がって行く神御蔵。 その様子を壁際から眺めている吉塚、

  • 吉塚
  • 「(若者達の視線に気付き)ボサッとすんな!さっさと掃除終わらしてトレーニングしろ!ぶっ殺すぞ!」


同 会長室前 廊下

ドアの前に立ち、大きく深呼吸をする神御蔵、すると―――、

  • 坂口
  • 「(声)さっさと入らんかい、ボケ!」
  • 神御蔵
  • 「………」


  • 神御蔵
  • 「(ドアを元気よく開け放ち)おはようございまっす!」

坂口、分厚い眼鏡をかけ、煙草を咥えてスポーツ新聞を広げている。

  • 坂口
  • 「えらい元気やの。昨日ぶっ倒されて病院に担ぎ込まれた奴とは思えんわ」
  • 神御蔵
  • 「当たり所がよかったのかも―――」
  • 坂口
  • 「アホか!」
  • 神御蔵
  • 「すみません………」
  • 坂口
  • 「客の1人が試合の後こない言よったわ………。「練習番長はスパーの相手だけしとけ!2度とリングに上るな」てな」
  • 神御蔵
  • 「練習番長っすか、タハハ………。そのお客さん、かなりのボクシングマニアっすね」
  • 坂口
  • 「何がマニアじゃ、ドアホ!」

思わずライターを投げる坂口、それを難なく交わす神御蔵、

  • 坂口
  • 「300㎏超えの重パンチ、ゴリラ並みの桁外れの体力、そして何より極めつけはパンチを貰わん紙一重の見切り………。そんな恵まれた素質のある奴がなんで未だにチャンピオンになってへんのや!え!」
  • 神御蔵
  • 「それはたまたま―――」
  • 坂口
  • 「たまたまちゃう!お前が甘ちゃんやからや!スパーでは無敵、せやけど本番で、しかもここ一番いう時に勝負を決められへん大甘やからや!」

  • ストレートを放とうとスイングするミクラス、

    • 男の子
    • 「パパ、頑張れ!」
    • ミクラス
    • 『パパ………』

    一瞬の躊躇………、
    瞬間、東田の顔を目掛けて放った渾身の右ストレートの軌道が逸れる。

    • 神御蔵
    • 「………」
    • 坂口
    • 「ワシは何遍も言うたよな、ボクシングは「相手を本気で殺したる!」と思える奴の方が勝つんやて。お前にボクシングは向いてへん。今日限り縁切りや!」
    • 神御蔵
    • 「話はそれだけですか?」
    • 坂口
    • 「何ぃ?」
    • 神御蔵
    • 「バイト行って来ます!」

    坂口に軽く頭を下げて部屋を出て行く神御蔵、


同 会長室前 廊下

  • 坂口
  • 「(声)こらミクラス!ワシの話、なんも聞いてへんやないか!ボケ!」

怒鳴り声が聞こえる。


街中 マンション

引越し屋の制服を着て、大きな荷物を抱えている男、神御蔵である。
冷蔵庫を小脇に抱え、マンションの階段を駆け上がって行く神御蔵。


同 室内
    • 神御蔵
    • 「すみませーん、これどこに降ろせば?」
    • 主婦
    • 「えーっと、冷蔵庫はここです」
    • 神御蔵
    • 「よいしょっと」

    主婦の指した場所にそっと冷蔵庫を降ろす神御蔵、

    • 主婦
    • 「………やっぱりこっち」
    • 神御蔵
    • 「(ひょいと冷蔵庫を持ち上げ)よいせ」
    • 主婦
    • 「うーん………やっぱり元のところで」
    • 神御蔵
    • 「(再び冷蔵庫を持ち上げ)あらよっと」

    それを見ていた男の子、

    • 男の子
    • 「ママ、このお兄ちゃん、力持ち」
    • 主婦
    • 「ほんとね」
    • 神御蔵
    • 「へへへ」
    • 作業員リーダー
    • 「(男の子に)このお兄ちゃんはね、ミクラスって名前なんだよ」
    • 男の子
    • 「ミクラス………?」

    キョロキョロと辺りを見回し、「おもちゃ」と書かれたダンボールを開けて何かを探し始める。

    • 男の子
    • 「あった!」

    中から人形を取り出し、

    • 男の子
    • 「ミクラス!」

    神御蔵の前に差し出す人形、それは怪獣ミクラスのソフビ、

    • 男の子
    • 「ミクラスはね、セブンが困った時に助けに来てくれるんだよ!」
    • 神御蔵
    • 「お、よく知ってんなぁ!」
    • 男の子
    • 「でも僕のミクラス、壊れたの………」

    角が折れ、腕と足が抜けたミクラスの人形、

    • 神御蔵
    • 「ちょっと貸して」


ミクラスの人形を受け取ると、腰のバッグからハサミやボンドを取り出してあっという間に修理する神御蔵、

  • 神御蔵
  • 「はい。復活!」

男の子、人形を受け取って、

  • 男の子
  • 「(嬉しそうに笑って)わぁ………」
  • 主婦
  • 「ありがとうございます。主人と離婚して………私、こういう事苦手で……」
  • 神御蔵
  • 「俺、模型作りが趣味なんです。よかったら何でも言って下さい。直しますから」
  • 男の子
  • 「これ!」

おもちゃ箱を広げる男の子、翼の折れた飛行機やタイヤの外れたミニカー、 色んなものがある。

  • 神御蔵
  • 「うわ!こいつは直し甲斐がありそうだ!」

苦笑するリーダー。



同 階段

沢山の空になったダンボールを抱えて駆け下りる神御蔵、
ふと何か人の叫び声のようなものが聞こえて立ち止まり、

  • 神御蔵
  • 「………?」


同 地下駐車場
  • ドアを開けて駐車場を覗く神御蔵、
    誰もいない………。

    • 神御蔵
    • 「気のせいか………。俺、霊感とかないし」

    再びドアを開けて戻ろうとしたその時、ふいに腕を掴まれる。

    • 神御蔵
    • 「――――!?」

    服が乱れ、取り乱した女性、神御蔵の腕にすがり付いてブルブル震えている。

    • 神御蔵
    • 「どうした―――」
    • 男の声
    • 「どうもしねぇ」

    どこからか男の声がする。

    • 男の声
    • 「関係ねぇ奴はとっとと消えろ」

    男の姿は見えない。だが、口も聞けないほど震えている女性の様子を見れば、普通ではない事は明らかである。

    • 神御蔵
    • 「(女性を見つめ、「大丈夫だ」という風に頷いて)………」

    怯える女性を自分の背中の方へ隠す神御蔵、

    • 男の声
    • 「てめぇ………」

    ふいに空気を裂く音がする。

    • 神御蔵
    • 「!?」

    音のする方を見る神御蔵、凄まじい反射で飛んで来る何かを避ける。

    「ガスッ!」
    ―――と音がして、太いサバイバルナイフがドアに突き刺さる。
    「タタタタ」と足音が遠ざかって行く。

    • 神御蔵
    • 「ふぅ………。(女性に)もう大丈夫っすから………」

    そう言って優しく微笑む―――。


派出所 内(夕方)

女性と神御蔵が椅子に座っている。
机の上にはサバイバルナイフが置かれている。
年配の警察官が調書を執りながら、

  • 警察官
  • 「―――もう一度聞くが、あんた顔は見とらんのだな」
  • 神御蔵
  • 「すみません。声だけしか………」
  • 警察官
  • 「謝る必要なんかないよ。物証を残していくとはよっぽど悔しかったんだろうよ。
    うん、こいつは必ず捕まる」
  • 神御蔵
  • 「そうっすか!女の人をこんな目に合わせる奴はぜったい許せないっすからね!」
  • 女性
  • 「(神御蔵を見つめ、薄っすらと微笑む)」


神御蔵と女性がいなくなった後、お茶を淹れる警察官。

  • 警察官
  • 「ワシも若くてあんな体格しとったら、
    この世界でもうちょっとは出世出来たかもしれんがな………」
  • 香椎
  • 「(声)それがいいとも限りませんよ」
  • 警察官
  • 「え………?」

派出所に入って来る香椎、その後には先ほどの被害女性がいる。

  • 警察官
  • 「(驚いて)あんた………」
  • 女性
  • 「さっきはどうも」

カツラと眼鏡を外す女性、科捜研の横川である。

  • 警察官
  • 「………」
  • 香椎
  • 「これ、うちの拾得物なんで」

そう言って証拠品のサバイバルナイフを取る香椎、

  • 香椎
  • 「それじゃこれで」
  • 警察官
  • 「あんた等一体―――」

胸ポケットからバッジを取り出して見せる香椎、

  • 警察官
  • 「(サッと表情が変り)え………、あなたは―――」
  • 香椎
  • 「警察庁の香椎です。出世すればしたで苦労しますよ。ほどほどが一番です」
  • 警察官
  • 「(呆然)」


路上
    • 香椎
    • 「横川ちゃん、今日はありがとう」
    • 横川
    • 「伊万里牛サーロインステーキ、5㎏」
    • 香椎
    • 「5㎏!?」
    • 横川
    • 「(軽く手を上げて歩き出しながら)彼、いいんじゃない」

    そういい残して歩き去る。

    • 香椎
    • 「(笑って)散財した価値はあったか………」

    episode.000-3へ続く

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