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「確保」か、「制圧」か。“S”と呼ばれる警察の特殊部隊が存在する。中でも通常の警察官が対応できないようなテロ・凶悪事件を制圧(犯人を殺してでも、国家の安全を守る)するのが“SAT”だ。そんな彼らに対し、どんな凶悪犯も確保(犯人を殺さず捕らえ事件を解決)する事を信条とした“NPS”と呼ばれる新部隊が創設された―――――――

神御蔵 一號(カミクラ イチゴ)

  • 神御蔵 一號(カミクラ イチゴ)
  • [年齢] 26歳 [身長] 187cm [体重] 80kg [出身] 東京都小平市
    [所属] 警察庁刑事局捜査第一課 特殊急襲捜査班(NPS)隊員 [階級] 巡査

    元棟方ジム所属のクルーザー級プロボクサー。リングネームは「ミクラス」。キャッチコピーは「重戦車ミクラス一號」。パンチのキレや破壊力、無尽蔵な運動量、そして天性の「見切り」(おおよそあり得ないほどの動体視力で、相手のパンチを避ける事など造作もない)を備えた素晴らしい才能の持ち主。にも関わらず、無冠………。
    相手を思い遣る優しさゆえ、どうしても練習の成果を発揮出来ない。東京ドームで行われたクルーザー級王座決定戦(対戦相手は東和ジム東田賢大)に訪れていた香椎秀樹に本質を見抜かれ、5年2ヶ月の現役生活に別れを告げて警察官の道を歩み出した。※6巻46話「最後のワンピース」参照

    2005年より警視庁で施行された警察官採用試験、『資格経歴等の評定』(一芸に秀でた者の資格・経歴を採点に加えるという試み)によりスレスレで合格、半年の警察学校入校の後、第四機動隊に配属される。(同期には警視庁警備部警護課警護第2係の荒垣修平、SATとの攻防戦を起こした縁上靖がいる)一年後、人事異動により警察庁刑事局へ。秘密裏に設立されたNPSの一員となる。

    「NPS」の中では一番若年であり、林イルマが着隊してくるまでは雑用(お茶汲みにコピー、上層部の運転手まで)を一手に引き受けていた。元々NPSは予算が潤沢ではない為、非番の日には横田基地の側にある古着屋などを覗いて周り、米軍の装備でもあるベルト、手袋、インナーシャツなど、より自分にフィットする物を探している(支給品は使い辛い)。もちろんすべて自腹で購入である。愛読書は格闘技系や武器の扱い、レスキューや救急救命についてのもの。趣味は模型いじりとスイーツ店巡り。太い指をしている割には事の外手先が機用で、模型作りの腕前はプロ級である。※6巻47話「新たな戦場」参照 ※7巻51話「消せない傷」参照 現役時代、減量には相当苦しんだ為、食(特にスイーツ)に対する執着は相当深いものがある。

    20年前、神御蔵が6歳の誕生日に遊園地で父親の幾斗、母親の祥子を事件で亡くした。拳銃で撃たれたのだ。撃った男は野瀬祐司28歳。野瀬はその場で駆け付けた警察官に射殺された。※1巻6話「消せない記憶(前編)(中編)」参照 なぜ、野瀬が両親を撃ったのか、どうして両親が殺されなければならなかったのか、今となっては何も分からない。野瀬は無縁仏として古寺に葬られており、神御蔵は時折そこを訪ねて自問自答している。身寄りの無かった神御蔵は養護施設「春の家」に預けられた。そこで、月に一度、ボクシング教室を開いていた棟方彬と出会う。※2巻13話「邂逅の時」参照 棟方は神御蔵にボクシングの素質がある事を見抜き、棟方家に引き取って育てる事にした。棟方の孫娘であるゆづるとは兄妹のように育ちながらも、どこかで意識をし合っている。

    性格は単純で喜怒哀楽が手にとるように分かりやすい。しかし、その心の奥底には優しさと激しさが背中合わせに同居している。それが極端に現れるのが有事の際だ。 時には隊長の命令を無視し、時には己の危険を顧みる事をしないまま、犯人と対峙する。人質・犯人共に命を「確保」するというNPSの信条、その担い手である為、格闘技は様々なものを習得している。レンジャーの技であるロープを用いた戦術や自然物を使って攻撃・防御を行う陸上自衛隊の戦術など、さまざまなものを広く取り入れて研究している。また、人の身体にも詳しく、速田に次いで応急処置の知識がある。一方で銃を扱う能力は極めて低い。これは過去の事件がトラウマとなっている。

    最後に、神御蔵の最大の特徴が大きな手だ。香椎は「邪気を祓う拳」だと言い、棟方は「相手を倒すのではなく、守る為の拳」だと言う。銃対員の篠田が撃たれた際、傷口を押さえ続けた神御蔵。その時、圧迫止血では説明がつかない事が起こっていた。※2巻12話「家族の絆」参照 横川は研究対象として非常に興味を抱いている。守る為に闘う。神御蔵の拳は神が遣わせた大いなる奇跡なのか? それはまだ何も分からない……。

香椎 秀樹(カシイ ヒデキ)

  • 香椎 秀樹(カシイ ヒデキ)
  • [年齢] 41歳 [身長] 176cm [体重]75 kg [出身] 神奈川県横浜市
    [所属] 警察庁刑事局捜査第一課 特殊急襲捜査班(NPS)隊長 [階級]警視 ※すべて部隊創設時

    警察庁刑事局内に極秘裏に新設された特殊急襲捜査班「NPS」、その初代隊長に選任された香椎秀樹は、元警視庁警備部警備第一課特殊部隊「SAT」の副官だった。部隊創設の三年前、香椎は突入班を率いて都内にある倉庫に突入した。そこはネットの裏サイトで集った快楽殺人者の同好会のアジトだった。同好会は大量の覚醒剤の他、密造拳銃の売買などにも手を染めているとの情報があり、また、現在誘拐されたOLが倉庫内に監禁されているとの報告を受けていた。香椎は一気に犯人グループを取り押さえ、被害者の救出に成功する。同好会の首謀者である稲謙三(62)は過去にも同様の犯罪を繰り返しており、今回も無期懲役を受けた中での仮釈放中であった。隊長の中丸文夫は香椎の目の前で稲を射殺する。理由は未来の犯罪被害者を未然に防ぐ為の措置。しかし、中丸の行動に対して香椎は激しく疑問を呈し、これがきっかけで香椎と中丸は袂を別つ事となった。「SAT」を離れた香椎の元へ一本の電話が入る。電話の主は天城光、警察庁長官官房審議官だった。電話の内容は「警察庁に新設する部隊を指揮してみないか」という驚くべき誘いだった。※1巻5話「相克のルーツ」参照

    身体能力に秀で、かつ、頭脳も明晰。これは本人の努力もさる事ながら、親からの遺伝も大きい。父親は警察官であり、横浜市内で剣道の道場師範を務める香椎竜。母親の美奈は隣接する塾の講師。文武両道を掲げたこの塾は「香塾(こうじゅく)」と呼ばれ、遠方からも入門者が来るほどである。(二人とも現在も存命であり、塾も続けている)香椎も5歳の時から剣道を習い始め、武術にのめり込んだ。『剣は人を殺すに非ず、己を律するに有る』という教えと、父親の口癖だった「憎むな 殺すな 赦しましょう」という二つが、香椎がNPSを導く上での理念となっている。※6巻46話「最後のワンピース」参照

    大学を卒業後、キャリア組として警視庁に入庁。剣道の術科特別訓練員(特練員)となり、第四機動隊に配属された。その時、ある男と運命的な出会いをする。たまたま同期の元を訪ねていた初代SAT隊長、横川勇太郎(当時43歳)は、訓練を行う香椎の姿に目を留める。技や動きもさる事ながら、先を読むような位置取りに興味を覚え、身分を隠して一試合を申し出た。立会いながら横川は香椎の潜在能力の高さを確信し、SATに引き抜く事をその場で決意する。同じように横川に見出されたもう一人は中丸文夫(現SAT隊長)である。横川の事をよく知る人物達は育てられた二人をこう評する。中丸には「果断さ」が、香椎には「柔軟さ」が伝わったと。

    機動隊、SATを渡り歩いて来たとは思えないほど、一見安穏とした風貌と言動である。だがそれは表向きの顔、内面は熱く、冷静で論理的、こうと決めたら下命でも引き下がらない芯の強さを持っている。しかし、そんな香椎も失敗はある。警察学校時代に知り合ったOLと大恋愛の末に結婚したが、※7巻56話「あの日の気持ち」参照 僅か二年で離婚(子供はいない)。仕事から帰ると書置きが残されており、以後二度と妻が戻る事はなかった……。当時のSATは今よりも厳格な秘密主義であった為、妻には何も話せず、様々な隠し事があった。市井の人であった妻にはそんな緊張が耐えられなかったのだ。「有事の際、自分達が家族と共にいる事はない。だから、せめて普通の日々の中では精一杯家族と一緒に過ごす方がいい」神御蔵に「家族を大事にしろ」という香椎の言葉の裏には、そんな心情が隠されている。

    恩師である横川勇太郎の娘、との出会いは彼女が小学生の頃。「大きいお兄ちゃん」の中丸に対し、歳の近い「小さいお兄ちゃん」として接してきた。香椎は横川の事をどこか従妹のように思っているが、横川がどうなのかは定かではない。

    趣味は読書とDVD鑑賞、そして料理。すっかり手早く料理が作れる腕になった自分が時折哀しい……。

速田 仁(ハヤタ ヒトシ)

  • 速田 仁(ハヤタ ヒトシ)
  • [年齢] 35歳 [身長] 181cm [体重] 73kg [出身] 茨城県水戸市
    [所属] 警察庁刑事局捜査第一課 特殊急襲捜査班(NPS)副官 [階級] 警部 ※すべて部隊創設時

    元は警視庁にその名を轟かせるほど優秀な刑事だった。四年前、新宿署から警視庁刑事部捜査第一課に異動となり、特殊犯捜査第1係、通称SITに所属する。※7巻52話「崩れた信頼」参照
    身体能力は現役の機動隊員に一歩も引けを取らず、射撃の腕前もSATのOBが舌を巻くほどの素晴らしさ。語学も堪能で、レポートを書かせても超一級。1係では自ら率先して「トカゲ」を志望、追跡や尾行を主とする部隊で活動する。呆れるほどの愛想の無さにのみ目を瞑れば、これほど優秀な男がいるのかというほどである。当時、教育係を務めた当真一郎警部補は、速田はいずれ警察組織を大きく変えていく可能性があると考えていた。それほどスケールの大きな存在だった。だが、やがて捜査一課の誰もが忘れる事の出来ない事件が発生する。小学校三年生の多田昌彦ちゃん(9)が誘拐され、身代金を要求された後、殺害されたのだ(通称、「昌彦ちゃん事件」)。この事件はついに未解決となり、こともあろうに重要参考人として名前の挙がっていた藤波優子と速田が同居している事実が発覚。速田はSITに消せない傷を付けた男として、組織を追われた……。そんな速田を救ったのが香椎秀樹である。香椎は速田を自分の右腕たる副官として、NPSに招き入れた。

    SATは大人数なだけに「小隊長」「中隊長」「隊長」「隊員」と分かれているのだが、NPSは少数精鋭の一個隊で成り立っている。速田は隊長のサポートをするNO.2であり、SATによるところの副官と中隊長を合わせた役割を担っている。隊長の側で指揮をサポートする傍ら、今回の作戦にはどの銃を使うか、どの用具を持っていくか、銃で押さえるか電気ショックにするかなど、作戦の段取りを考案する。また、最前線に出て常に現場の生の状況を確認しつつ、自らも作戦に参加して行動する。作戦に参加した場合は、突入班(神御蔵)と行動を共にし、指揮班として現場の状況を確認しつつ、指揮所や工作班との仲立ちを行う。上記した通り、銃の扱いも格闘技も素晴らしいものがあり、NPSではイルマ神御蔵に次ぐ実力の持ち主である。その為、突入を二手から行う場合は神御蔵と速田が行う事となる。また、応急処置なども身につけており、簡単な救急措置は十分に行える。

    警察学校に所属していた頃から救命救急の必要性を感じ、新宿にある首都医校(専門学校)救命救急学科に独自の判断で通い、救急救命士の資格を得た。刑事時代も負傷した同僚の応急処置や確保した犯人の手当てをするなど、隠れた功績を残している。以来、幾度も上層部に上申書を提出し、現場に救命救急士を置く必要性を進言してきたが、今もって速田の考えは聞き入れられていない。「怪我をするような者は注意力が足りていない証拠」という前時代的な考えと、養成費用の捻出、育成に掛かる時間を渋る為である。

    几帳面な性格の為、机の上はいつも片付いている。事務所にいる時にはNPSの総務部的な役割も担っており、お金の無い組織運営に頭を悩ませている(大好きなコーヒーの費用は特別。自分へのご褒美)。好きな本はプレゼンのやり方など実務系のもの。松下幸之助やスティーブ・ジョブズといった人物モノを好む。また、バイク雑誌も大のお気に入り。趣味はコーヒー。コーヒー専門店のマスターが一目置くほどの目利きでもある。※10巻73話「予兆」参照 実家が茶道の家元で、性格も自分と似た几帳面である梶尾の淹れるコーヒーがお気に入り。

    四年後、再び発生した女児誘拐事件ではNPSとして捜査を引っ張り、見事犯人を挙げた。それはくしくも四年前の「昌彦ちゃん事件」を解決する事にも繋がり、藤波優子の汚名も晴れた。今は都内のマンションで同居している。

    速田の唯一のウィークポイントを挙げるとしたら……それは乗り物(特にバイク)に乗った時に人が変わる事。警察官でなかったら早々に逮捕され免許を取り上げられているだろう。※1巻2話「創設の真意」参照

古橋 誠二朗(フルハシ セイジロウ)

  • 古橋 誠二朗(フルハシ セイジロウ)
  • [年齢] 34歳 [身長] 179cm [体重] 80kg [出身] 大阪府枚方市
    [所属] 警察庁刑事局捜査第一課 特殊急襲捜査班(NPS)隊員 [階級] 警部 ※すべて部隊創設時

    アメリカ連邦捜査局(FBI)にてネゴシエーションの術を学び、六年前に都内で発生した二件の人質立て篭もり事件を、たった一発の銃弾も使う事なく解決した。当時は警視庁刑事部捜査第一課きってのネゴシエイター(交渉)の達人と呼ばれていた。しかし、嫉妬した先輩刑事から暴力団との交際嫌疑を掛けられ(知らずに飲み食い、ゴルフに行ったのは事実)、刑事部を追われるようにしてNPSに加わった。

    元来、面倒くさがり屋でだらしない性格でもある。警察を就職先に選んだのも「潰れないから」で、正義感に駆られていた訳ではない。とはいえ、仕事を始めると次第にのめり込み、本来の要領の良さと相まってメキメキと頭角を現した。だが、再び半年間のネゴ研修を終えてアメリカから戻った時、家の中から妻と息子の姿は消えていた……。あまりにも家族を顧みなかったツケであった。夫婦は離婚。元妻の由起子は山梨で一人息子の史朗(7)と暮らしており、近々再婚する予定。※5巻36話「父の職務」参照 そんなある日、史朗と由起子がバスジャックに居合わせる。古橋は己の全てを賭けてバスジャック犯と向かい合い、史朗の機転もあってついに家族を救い出す事に成功する。

    警備部であるSATにネゴシエーターはいない。刑事部である捜査一課(SIT)に専門家がおり、必要に応じてSATと協力する事になる。NPSは「備」と「事」を併せ持つ性格上、古橋が交渉役を担当する。NPSの中では香椎速田に次ぐNO.3という位置付けで、銃の腕前はそこそこ、格闘技に関しても「中の中」くらいの技量。神御蔵に次ぐ肉体の持ち主だが、それは見た目重視の「見せ筋肉」である(一応独身なので)。ただ、海外でのネゴの訓練中に覚えた手錠の扱い、鍵の開閉、鍵が無い場合の自動車のエンジン始動など、手業には素晴らしい技量がある。また、様々な電子機器類の扱いにも長けており、交渉を必要としない現場では工作班として、鍵穴からファイバースコープを延ばして中の映像を撮ったり、集音マイクで音を拾ったり、サーモグラフィーなどで犯人や人質の熱を感知し居場所を特定したりする。様々なアイディアにも長けており、猫を使った陽動などを仕掛けたりする(悪ノリもある)。※1巻2話「創設の真意」参照

    仕事柄、心理学や性格判断、血液型入門などを熟読、占星術などの本も読む。これを合コンで披露して、逆に引かれる事も多々あるが……。神御蔵とは妙にウマが合い、非番の日に自宅アパートに呼び出して一緒に食事をする事もある。平時には車両やカメラなどの機材のメンテナンスを行いつつ、プロテインを飲みながら見せ筋肉を付ける日々。

梶尾 竜一(カジオ リュウイチ)

  • 梶尾 竜一(カジオ リュウイチ)
  • [年齢] 30歳 [身長] 174cm [体重] 73kg [出身] 埼玉県川越市
    [所属] 警察庁刑事局捜査第一課 特殊急襲捜査班(NPS)隊員 [階級] 巡査部長 ※すべて部隊創設時

    交通機動隊、白バイ隊員を経て警視庁警備部警備二課第3係、即ち警備犬訓練所にてハンドラーの任務に就いていたが、突然の異動命令を受けNPSへ来た。その際の内示には実に不可解な事が記されていた。
    『貴君が指導している警備犬一頭を連れて――――』

    よって異動にはジャーマン・シェパードの♂、ポインター3号を伴って現れた。ちなみに初代ポインター号はアルジェリア地震、ポインター2号はインドネシア大津波の際、国際緊急援助隊の一員として派遣され、見事瓦礫の中から生存者を発見、表彰を受けている。優秀な犬を育てる事には定評があるが、警備犬は装備品、家庭犬とは違って酷使される運命にあり、短命である。初代は6歳、2号は8歳で死亡。棺にすがり付き大泣きする梶尾の姿は、マスコミを通じて全国のニュースに流れた。

    香椎はSAT在籍中、二度ほど警備二課と訓練を共にした。その折、警備犬を自在に操るハンドラー、梶尾に強烈な印象を受ける。特殊部隊と警備犬のコンビネーションはこれからの事件対応に様々な可能性を秘めていると感じ、香椎は梶尾とポインター3号を(半ば強引に)引き抜いた。これは当時の梶尾の印象がいかに鮮烈であったかを物語る。

    梶尾流茶道の家元の生まれで、竜一の名の通り長男でもある。父竜三と母三代子は梶尾が跡目を継いでくれるものと思い込んでいたため、警察官になると言い出した時には大騒ぎになった。引っ込み思案で大人しく、子供の頃はいじめられっ子だった。自分がいじめられる事にはまだ耐えられたが、友達がいじめられるのを見るのは辛かった。「茶道では友達を守れない」。この時の意識が梶尾を警察官へと向かわせた。

    平事においては速田の補佐として総務的な役割をこなす。支給品のチェックや装備品の修理の発注、電機・ガス・水道などの光熱費からタクシー代に至るまで、細かくチェックしている。愛読書はやはり犬学、犬の応急手当や飼い主との信頼関係の築き方など。他の動物にも造詣が深く、生物全般において博学である。実家には鳥から虫まで沢山のものを飼っており、このように生き物に夢中でまったく女性とのウワサがない為、母親の三代子は何度もお見合いの話を持ってきている。だが、肝心の梶尾には今のところ結婚する意識がない。※10巻73話「予兆」参照

    有事には工作班として活動。爆発物や危険物に関しての知識は相当のもので、爆弾の解析や解除には欠かせない。犯人の足跡追及、人質捜索、爆発物検知や洗浄など、主に緊迫する前の段階を担当する事が多い。銃の扱いや格闘技には不慣れだが、逮捕術などの基本はきっちりとマスターしている。作戦行動中は主に古橋と共に働き、陽動などを仕掛ける事もある。

林 イルマ(ハヤシ イルマ)

  • 林 イルマ(ハヤシ イルマ)
  • [年齢] 25歳 [身長] 159cm [体重] 43kg [出身] 宮崎県日南市
    [出身] 警察庁刑事局捜査第一課 特殊急襲捜査班(NPS)隊員 [階級] 巡査 ※すべて部隊創設時

    自らを「天才スナイパー」と豪語する女傑。実際、狙撃の腕はSATの蘇我伊織と比較しても引けを取らない。実家は兼業農家であり、兄と姉、弟の四兄弟の三番目。近所の子供達を従えて野山を駆け回り、牛や馬や豚と親しみ、祖父の丙志郎が日南市の伝統的な弓道である四半的の指南をしていた影響もあって、幼い頃から的当てをたしなむようになる。それが高じて高校卒業後、陸上自衛隊に入隊。群を抜く集中力と高い狙撃技術を買われ、陸上自衛隊における「S」、習志野の陸上自衛隊特殊作戦群(SFGp)に配属された。当時の階級は3等陸曹、第2中隊にて狙撃支援班。もちろん女性では初である。

    自衛隊を辞めるきっかけになったのは上官への反逆行為。表向きは一身上の都合による退職だが、真実はペイント弾を上官に撃ち込んだ事の責任によるクビである。上官による友人への度重なるセクハラ行為に業を煮やした故の事だった。風の強い夕刻、M16を使用して、約80m離れた距離から胸部に弾を当てた事実も同様に伏せられている。※10巻69話「新たな確執」参照 その後、府中にある四半的の射的場でアルバイトをしていた折、香椎に出会う。そして警察への転身を勧められた。もちろんすべてを調べられた上でのスカウトだった。警察学校を特例措置で卒業後、警視庁交通部交通執行課執行第1係(ミニパト)に配属される。蘇我伊織のSAT復帰のタイミングでNPS配属となった。

    兎に角べらべらとよく喋る。相手が聞いていようがいまいがお構いなし。まるでマシンガンのようだ。身体つきは細身で少年体型、今のところ、恋愛には興味がない(ただ、人の恋路に首を突っ込むのは好き)。しかし、少女趣味は旺盛で、可愛いものを身の回りに集めるのが大好き。本を読んだりテレビを見たり、いざその世界に入り込むと周りの音が一切聞こえなくなる。持続はしないが、異常なまでに集中力を高める事が出来る(その分、途切れた時の反動は大きい……)。

    自衛隊員だった時代、身体に刷り込まれたのは「やられる前にやれ」。よってイルマの感覚は「犯人」ではなく「敵」であり、「制圧」や「確保」ではなく「殲滅」である。香椎神御蔵は何度も口を酸っぱくして「敵」ではなく「犯人」。「殲滅」ではなく「確保」と言い続ける。いつ、引き金を引くか分からないイルマに冷や冷やしっ放しである……。

    口癖は「あまめ」。宮崎の方言でゴキブリという意味だ。特に女を力ずくでモノにしようとする男が大嫌いで、そんな男はイルマにとって「あまめ」であり、この世に存在しなくてもいい「殲滅」の対象である。

    平時にはお茶汲みからコピー取りまで、なんでもやらされる(それまでは神御蔵の担当だった)。しかし、ガサツな為に後々梶尾神御蔵がやり直さなければならなくなる事も多々ある。梶尾が忙しい時は、ポインター3号の散歩や運動をさせる役目を請け負っている。ポインターも無邪気なイルマと遊ぶのはとても好きだ。好きな本はやはり銃器関係が多く、分らない時には外国の本を取り寄せてでも調べたりする。

    一転、有事には狙撃班として活動する。特徴は左利き。それを直して右でも扱えるようになった為、両利きのスナイパーでもある。※98話「100%の条件」参照 また、特殊作戦群の折に覚えた体術に関しての知識は豊富。関節を曲げて犯人の骨を砕いたり、動脈を押さえて失神させたりする事は造作もない。それに、キノコや草、虫など、サバイバル時の知識にも長けている。

ポインター3号

  • ポインター3号
  • [年齢] 3歳 [体高(地面から肩)]75cm [体長(胸からお尻)] 90cm [体重] 30kg
    [出身] 千葉県松戸市 [所属] 警察庁刑事局捜査第一課 特殊急襲捜査班(NPS)警備犬

    警備犬訓練所時代、梶尾の訓練犬として成長し、素晴らしい性能を発露させて警備犬となった。鼻の扱いに掛けては天性のものがあり、足跡追及する時には地鼻(地面に鼻を付けて匂いを取る)を、フィールドでの救助活動の際には高っ鼻(鼻を上げ、空気中の浮遊臭気を取る)を使う。また、爆発物検知でも素晴らしい性能を発揮し、僅かな火薬や薬品の匂いを嗅ぎ取る。このような芸当が出来る犬は警備犬の中でも数頭しかいない。※1巻3話「掲げる信条(前編)」 ※8巻64話「勝利の証」参照 さりげなくNPSを支える陰の立役者。

    よく食べ、よく仕事をし、よく眠る。明るく伸び伸びした性格で好奇心は旺盛。噛む事も大好き。お気に入りはなんといっても神御蔵のふくらはぎである。一つ苦手をあげるとすれば横川警視。彼女の香水の匂いには食欲も減退する……。

蘇我 伊織(ソガ イオリ)

  • 蘇我 伊織(ソガ イオリ)
  • [年齢] 26歳 [身長] 180cm [体重] 72kg [出身] 東京都世田谷区
    [所属] 警視庁警備部警備第一課 特殊部隊(SAT)隊員 [階級] 巡査

    中丸に見い出され、中丸の理想を自分の理想として具現化しようと心に決めている。怖ろしいまでの集中力と精神力を兼ね備え、歴代SAT随一と呼ばれるほどの狙撃手である。

    とても大人しい子供だった。父の駿一は事務機メーカーのサラリーマン、母の香織は専業主婦。そして6歳離れた姉の佐織の四人暮らし。姉弟はとても顔立ちが似ており、病気がちだった母に代わって佐織は弟の面倒をよく見て、とても仲が良かった。顔立ちが綺麗な事もあり、目立ちたくなくても目立った。街を歩いていてスカウトされた事も何度もある。そのせいで周りからからかわれたり絡まれたりするがイヤだった。そんな伊織の事を姉はいつも優しく慰めてくれた。
    元々、生物の研究者になりたかった。特に植物が好きで、観察をしたり育てたり押し花をしたりと様々な事をやった。本も良く読み成績も良かった。もちろん、運動神経も決して悪くはなく、ただ、スポーツ部の雰囲気が苦手で部活動をする事はなかった。ただ、特異な性格の持ち主でもあった。一つの事に熱中すると何時間でも没頭し、時を忘れてしまう。図書館に通っては大人でも読むのが困難な学術書などを読み耽ったり、昼も夜も忘れて生態を観察したり。それは異常ともいえるくらいの集中力だった。

    そんな伊織を一変させる事件が起きる。小学4年生の時、高校に通っていた佐織がレイプされたのだ。犯人は逮捕され、収監された。しかし、初犯という事で刑は求刑よりも軽くなった。佐織は苦しみ続けたが、少しずつ元の優しさを取り戻していった。七年後、伊織が高校二年になった時、佐織は殺された。レイプした同一犯の男が仮釈放中に起こした事件だった。動機は復讐。自分が刑罰を受けた事への逆恨みだった。この世で最も慕っていた姉がこの世からいなくなった。※3巻19話「同じ傷」参照 その喪失感は伊織の心に激しい嵐を吹かせ、自分がそれまで知らなかった自分、根底に眠っていた苛烈な心を目覚めさせた。それまで大切にしていた植物の本を一切封印し、研究者になるという夢は捨てた。そして、警察官になる為の勉強を始める。大好きだった姉さんを殺した奴が刑務所から出た瞬間、自分の手で殺してやる。警察という職業が「復讐」を成す為にもっとも都合の良い職業だと思った。

    犯罪被害者の家族は犯罪加害者の家族同様、奇異な視線を注がれる。無言電話や取材依頼、時には姉がひどい遊び女だったとか、自業自得といった耐えられないデマまでも流された。一家は千葉の田舎町に引越しをしたが、元々病弱だった母親は姉が死んだ一年後に他界、父親は伊織が警察学校に入学したのを機に仕事を辞め、農業を始めた。

    元々は刑事志望だった。犯人を捕まえる事。姉のような存在を二度と出さない事。ただそれだけを願い、警察学校を卒業後、交番勤務を経て都内でもっとも激務と言われる署の一つ、池袋署の刑事課に配属となった。※4巻30話「情と精度」参照 配属されてすぐに強盗犯を検挙、その後も立て続けに犯人を挙げた。そんな新人の事は捜査一課やSITでも話題となった。もちろん蘇我も現場ではなくもっと上へ行くつもりだった。しかし、いくら犯人を逮捕しようとも、現行法がある限り刑期の途中で犯人は出所する。たとえ無期懲役を受けた者でも再び街を闊歩する。50%を越える再犯率、繰り返される凶悪事件、人権という言葉が空しく意味のないもののように感じた……。ひたすらに姉を想い、自分を磨き、いつか出所してくるであろう犯人と対峙する事をだけを考えていた。そして、姉のように苦しむ人を、家族を無くしたいと願ってきた。だが、犯罪は次々に生まれ、またどこかで罪無き人がむせび泣く。刑事になって半年、自分では抑えられそうにないところにまで矛盾は広がっていた。

    そんな時、SATの中丸から「会いたい」という連絡が届いた。警察学校での射撃の成績、都内で開かれる警察部内の射撃大会での成績を受けての事だった。「君はどこで射撃の腕を磨いたのか」と問う中丸に対し、伊織は「警察官である限り、射撃も一流でなくてはならないと思います」と答えた。そんな事は当然の事だと言えた。
    腕を磨かずにいる周りの連中こそ、伊織には異常に思えていた。そんな伊織に対し、中丸はSATの理念を語って聞かせた。「悪に赦しはいらん」。中丸の言葉は伊織が一番求めていたものだった。

    ほどなく第六機動隊に異動、射撃の特別訓練員となった。そして、半年後にSATに入隊した。格闘技、工作、作戦立案、すべての面で伊織は秀でた特徴を見せたが、やはり際立っていたのは狙撃の技術だった。中丸は蘇我を随一の狙撃手に育てるべく訓練を開始した。「その一発一発に己の想いを込めろ」。中丸の理想は自分の夢見た理想。一途な姉への想いが静かに伊織の心を奮い立たせていった。

    性格は中丸と重なるところが多々ある。ただ、酒は一人で飲み、タバコも一人でいる時のみ吸う。サボテンや観葉植物を大切に育てているのだが、自分の部屋には基本的に人を招かない為、それを知る人はほとんどいない。実は料理の腕前も相当のもので、パスタから煮物までそのレパートリーは豊富である。また、写真も趣味であり、非番の時には一人でふらりと撮影旅行に出掛けたりする。姉の形見のペンダントを常に携帯し、自分が撮ったお気に入りの姉の写真を部屋に飾っている。※3巻20話「遺されし者の糧」参照

中丸 文夫(ナカマル フミオ)

  • 中丸 文夫(ナカマル フミオ)
  • [年齢] 45歳 [身長] 183cm [体重]78kg [出身] 北海道夕張郡
    [所属] 警視庁警備部警備第一課 特殊部隊(SAT)隊長 [階級] 警視 ※初登場時

    今も数々の伝説が語り継がれるSAT初代隊長、横川勇太郎に見い出され、横川のすべてを一身に叩き込まれた存在と言われるのが、現SAT隊長、中丸文夫である。

    実家は曽祖父の代から続く北海道でも有数の大きな農園。父、典文、母、民子。三人兄妹の長男で、現在実家は弟の忠文が代表を務めている。幼少の頃から神童と呼ばれるほど頭が良く、スポーツにも秀でていた。ただ、仲間や先生の注目を集めていたのは喧嘩のやり方である。相手が二度と逆らわないほど、徹底的に打ちのめす。それは「時に残酷なほどだった」と当時を知る人は口を揃える。あまり表情を表に出す事のない子供だったが、その内面にある性格は苛烈そのものだった。そんな中丸の性格を育んだのは北海道という大地と農園という場所に大きな関係がある。厳しい自然の中で動物や作物を育てる事の難しさ、時には野性動物に襲われた家畜の屍骸を見て、時には寒さで全滅した野菜の苗を見て、時には生まれた子牛が生命力の無いものから間引かれていく姿を目の当たりにして、生と死を見つめていた。小学六年の時小児喘息を発症、丸三年の入院生活を余儀なくされた。「弱い者は死ぬ」という考えの元、必死で生きようともがき続け、ついに病気を克服した。札幌市内でも有数の名門高校に進学。父親に後を継がない事を告げ、都内の大学に進学した。この時既に警察官を志す事を決めていた。

    警察学校では総代を務め、交番勤務の後にキャリア組として警視庁警備部に配属された。治安という観念からこの国を見つめる中丸は、次第に特殊部隊に興味を持つようになり、自ら志願して第六機動隊に入った。そこで、SAPの隊長、横川勇太郎に才能を見い出され、隊員として迎えられる。SAPでは異例のスピードで隊員から小隊長に昇格。時に激しく、時に優しく横川から鍛え上げられ、横川の持っているノウハウを惜しみなく伝授される。その気持ちに応えようと中丸も懸命についていった。独り者の中丸を横川は家に招待し、共に食事を取る事も多々あった。そんな中、人と同じ枠に入りたがらず、協調性に掛けるとして友達の中で孤立気味だった横川の一人娘、を妹同様に可愛がった。

    SAPがSATと名称を変更し、中丸は中隊長に昇格した。と同時にSATに新隊員が入隊してくる。その一人が香椎秀樹だった。自分とは違う意味で横川から目を掛けられている香椎、その部分は何なのかを見定めようとして、中丸はあらゆる場で香椎を試した。よく笑い、冗談を飛ばし、酒も将棋もタバコも吸う香椎は中丸と正反対だと言える。中丸は強面だが酒もタバコも一切やらない。飲めないのではなく飲まない。吸えないのではなく吸わないのだ。いざという時の為に。それは女性にも言えた。香椎が女と付き合うのに対し、中丸は絶対に一人と深く付き合おうとはしなかった。これもいざという時の為を思っての事。横川からは「男は結婚してからが一人前だ」とお見合いなども勧められたが、頑として動かず、未だ一人身を貫いている。唯一の趣味は釣り、集中力と攻め方、人と魚の知恵比べは愉しい。川でも海でも基本的には一人で釣りに行くが、例外中の例外として同期入庁でNRIPSの変り種、國分彬がいる。※4巻25話「黒い維新」参照 「あいつらが二人で一人なら良かったんだがなぁ」横川はたまにそんな事を同僚に呟いたりしていた。

    横川が去った後、中丸は隊長に昇格。同じように香椎は中隊長に昇格した。これは横川の強い要請があったと後に知る。二人で始めて当たった事件は都内で発生した遊園地での銃乱射事件。だが、現場に到着した時には二人の夫婦は死亡、撃った犯人は現場に駆けつけた警察官に射殺されていた後だった。※1巻6話「消せない記憶」参照 犯人が射殺された事に異議を挟む香椎に中丸は苛立つ。こんな事件が二度と起こらないように、起こせないように、見せしめのように果敢に攻めようとする中丸と、犯人も一人の人間として傷付けないように守ろうとする香椎、横川という絶対の重石が外れた事で二人の確執は次第に深まっていく。中丸はSATを家族と思い定め、自分の人生全てを捧げる。だが、その重さに付いていけない者は脱落し、中丸も決して救いの手を差し伸べようとはしなかった。いくら香椎が意見しようとも……。

    幻想や理想を信じず、赦すという心を「弱さ」と感じる節を持つ中丸。繰り返される犯罪や再犯を重ねる者、特に精神異常者に対し、断固とした鉄槌を下すという信念は揺ぎ無いものがある。そして、二人の亀裂を決定的なものにした、あの忌まわしい快楽殺人者の同好会事件へと繋がってゆく。※1巻5話「相克のルーツ」参照

嵐 悟(アラシ サトル)

  • 嵐 悟(アラシ サトル)
  • [年齢] 32歳 [身長] 182cm [体重] 84kg [出身] 山梨県甲府市
    [所属] 警視庁警備部警備第一課 特殊部隊(SAT)中隊長 [階級] 巡査部長 ※初登場時

    泣く子も黙るSATの突1。短い髪、浅黒い肌、分厚い胸板。そして、SATの誇りが全身を覆っている。隊長の中丸を尊敬し、どんな過酷な命令であろうとも一歩を踏み出す覚悟を持っている。

    父親も警察官、母親も警察官である(ちなみに叔父は海上保安官)。育った環境が自然と国を守るという仕事に向かわせた。小学校低学年から始めた柔道は天性の素質もあり、中体連三年連続優勝、高体連三年連続優勝、インターハイ優勝という輝かしい成績を残した。日本柔道連盟から再三に渡ってオリンピック強化選手へのメンバー入りを勧められたが、頑として固辞。高校卒業後、警察学校に飛び込み、警視庁第五機動隊に配属となった。五機時代、逮捕術大会に出場した折、その活躍を中丸に見初められ、SATへ勧誘される。その際、中丸に言われた言葉、「この国の鉄壁となれ」は今も大切に胸に留めている。

    性格は見た目通りの豪快で、曲がった事は嫌う。自分にも他人にも厳しいが、懐も深く、部下には信頼されている。あまり細かい事は気にせず、言葉の裏を探ろうともせず、ただ命令された事を全力で尽くす。それがSATの一員たる者の姿、いや、SATの突1たる者の矜持だと信じている。

    NPSの信念には全く賛同していないが、神御蔵の事は秘かに認めている。古今のあらゆる格闘術を身につけた自分が、全力でぶつかれた相手は唯一神御蔵だけだからだ。神御蔵はバカだが信念はある。そう、どこか自分に似ている、と……。もちろんそんな事を他人に語る嵐ではないが、妻の民(たみ)はたちどころに見抜いた。※3巻21話「信念の代償」参照 ちなみに民との間には健(たける)と守(まもる)という双子の息子がいる。※4巻28話「新たなシナリオ」参照

    弟分の蘇我には特に目を掛けており、一時NPSに派遣されて揺れ動いた蘇我の行く末を心配している。※5巻36話「父の職務」参照

    趣味はトレーニング、腕立て伏せ1500回、腹筋3000回は一日も欠かす事はない。だが、仕事から離れればマイホームパパであり、度々家族を連れてキャンプに出掛ける。こんな家族を――引いてはこの国の平和を乱す者とは断固として闘う。単純明快、それが嵐である。だが、無敵の男も妻にだけは弱い……。

山中 一郎(ヤマナカ イチロウ)

  • 山中 一郎(ヤマナカ イチロウ)
  • [年齢] 38歳 [身長] 180cm [体重] 78kg [出身] 京都府京都市
    [所属] 警視庁警備部警備第一課 特殊部隊(SAT)隊員 [階級] 警部 ※初登場時

    秀才である。幼い頃から理知的で、特に理数系には驚くべき才能を発揮した。京都では有名な司法一家に育ち、かつて裁判官をしていた父の裕一、現在も弁護士として活動している母、希美子。同じく弁護士の弟の二郎がいる。余談だが、叔父は現最高検察庁次長検事の山中祥一である。

    山中も幼い頃から司法の道を目指し、高校二年生から飛び級で京都大学法学部に進学した。転機が訪れたのは京大三回生の時。裁判官だった父が、量刑が軽い事を不服とした被害者側の親族に激しい暴行を受けたのだ。父は頭部に障害を負い、以後、言葉を発するのが難しくなって裁判官の座を降りた。被害者側にも加害者側にも思い遣りを持ち、熟慮に熟慮を重ねて刑を決めていた父が至った現実……。どんなに優れた司法をもってしても、たった一度の暴力ですべてが根こそぎ壊れてしまう。この事件以後、山中は司法の道を歩むのを止め、警察という直接暴力と対峙する道を歩む決意をする。

    家族の反対を押し切り、京大を中退して警視庁警察学校へ入学。この選択の理由は明白、SATへ入隊する事だった。既に起った犯罪を捜査する刑事ではなく、起る前に暴力の源を叩き潰す警備こそが、父の無念を、ひいては司法が補いきれない暗黒の世界に鉄槌を下す事が出来ると考えての事だった。銃器対策部隊と化学防護隊を保有する第八機動隊に配属されると、持ち前の理解力で銃の扱いをたちどころに習得し、元々理数系が得意だった事もあり、化学防護隊では一、二を争うほどのスペシャリストとなった。今後起こりうる化学テロの重要性を認識し、そのスペシャリストを探していた中丸と出会う事になったのは必然だったと言える。

    SATでは長く中隊長をしていたが、副官だった香椎秀樹がSATを離れたのを機に副官へと昇格した。※2巻15話「突一の矜持」参照 香椎曰く「相手の行動や言動を読み取って、いつの間にか自分のペースに丸め込んでしまう」、それが山中評である。知力が高く、弁護士になる勉強をしていた山中にとってみれば、他人の機微を操る事など造作もない。尚且つ、作戦を立案する能力も極めて高い。だが、そんな山中の事を隊員達が慕わない……。中丸のような圧倒的カリスマもなければ、香椎のような人を包み込む温かさが欠けているのだ。山中は体力にものをいわせ、深い思慮を持ち得ない隊員が昔から好きになれない。どこかに選民思想のような際どいものが燻っている。決して言葉には発さないが、それは匂いして隊員達に伝わっている。トップの器無き者。永遠の二番手。にも関わらず、山中は中丸が去った後のSAT隊長の座を欲している。

    山中は誰かを尊敬したり憧れるという感情を持った事がない。出来る人、出来ない人の二者択一である。中丸に対しても出来る人という思いしかなく、自分が隊長という立場になれば、もっと出来ると確信している。だが、香椎だけはよく分からない。うまく人となりを掴めない。しかも、自分が認めている数少ない人物である中丸が、よりによって香椎にだけは一目置いているという事実には混乱させられる。この混乱が香椎を、引いてはNPSを毛嫌いする最大の理由である。

上野 耕司(ウエノ コウジ)

  • 上野 耕司(ウエノ コウジ)
  • [年齢] 26歳 [身長] 181cm [体重] 78kg [出身] 福岡県北九州市
    [所属] 警視庁警備部警備第一課 特殊部隊(SAT)隊員 [階級] 巡査 ※初登場時

    中学まで育った北九州の小倉では手のつけられない不良だった。地元の高校にはどこにも引き取り手がなく、進学はせずに毎日ブラブラする毎日。しかし、上野の身体能力に早くから気付いていた中学時代の体育教師、大村が半ば騙すようにして空手道場に連れて行き、そこで格闘技の才能が一気に花開いた。

    酒浸りの父親にかわって地元のスナックで家族を養っていた母親と、弟、妹の五人暮らし。空手にのめり込んでからは大村の勧めもあって東京の高校へ進学、一年浪人という形だった。東京では極真会系の鳳道場で鍛錬し、全日本空手道選手権大会で組手競技で三連覇を成し遂げる。その実力を買われ、警視庁の『資格経歴等の評定』にて警察学校へ入学、これは神御蔵一號と同じ措置である。やがて第六機動隊に配属され、そのままSATへと入隊した。SATでは先に入隊していた蘇我伊織を「先輩」と呼ぶが、年齢は同じである。※2巻16話「踏み出せる力」参照

    SATとNPSの初めての合同訓練では名うてのメンバーを押し退け、山中蘇我に次ぐ四番手でエントリーする。が自分の後継者だと名指しするのもこれをみれば頷ける。しかし、性格は自信家で粗野な部分があり、ともすれば人を見下すような態度を取る事も。そんな性格が油断を生んだのか、障害踏破では山肌で足を滑らせ滑落、NPSに助けられるという失態を犯す。※3巻18話「魂の慟哭」参照

    だが、上野もSATの一員としての誇りはしっかりと胸に刻んでいる。滑落した折、「早く行って下さい!」と自分よりもミッションの遂行を優先させ、神御蔵に助けられた事を「自分が情けない。任務に失敗した事もアイツに助けられた事も」と悔いる。空手と出会い、SATと出会ったからこそ、上野の心も人生も大きく変わった。もともと自力を備えた上野が、の勇退後、どれだけSATを引っ張っていく存在になるのか、それは見物である。

横川 秋(ヨコカワ アキ)

  • 横川 秋(ヨコカワ アキ)
  • [年齢] 30歳 [身長] 163cm [体重] 43㎏ [出身] 東京都
    [所属] 警察庁科学警察研究所 捜査支援研究室主任 [階級] 警視 ※初登場時

    科学警察研究所きっての美人であり、特級の変わり者。研究室では白衣だが、私服は極めて派手。行動も派手。言動も派手。とはいえ、プロファイリングの名手であり、迷宮入り寸前の事件を幾つも紐解いてきた凄腕のシークレットハンターでもある。※1巻6話「消せない記憶(前編)」参照

    父親はSATの初代隊長、勇太郎。母親の翼は専業主婦。一人娘の秋は幼少の頃から美しく聡明であり、人を見透かす(心の動きを読む)ようなところがあった。それ故、常に友達が出来ず孤立気味だった。ただ、自からも進んで人の輪に入るような事はせず、「人はなぜ生きるのか」「人はどうして死ぬのか」「人が人を殺すのはなぜか」、そんな哲学的な事を考える子供だった。

    ほとんど家族の事を顧みない父親の事をどこかで軽蔑し(一人で生きたいのなら、家族など持たなければいい)、人間の行動原理を深く研究する為に、東京大学経済学部からハーバード大学へ留学。HBS(経営学大学院)で学ぶ。だが、そこで体験した爆破テロ事件が大きな転機となり、父親と同じ警察官の道を歩む事になった。※3巻24話「二人の命」参照 警察官になる事を父親には伝えなかった。いや、伝えられなかった。どこかで軽蔑すらしていた父親の道……。だが、そんな父親の事が少しずつ分かり始めている。それがまたも歯痒くもあり嬉しくもあり……。

    中丸香椎に出会ったのは小学生の頃。「大きいお兄ちゃん」の中丸、「小さいお兄ちゃん」が香椎。当時はむしろ、どこか孤独を身に纏っていた中丸の方に親近感を覚えていた。科学警察研究所に入ってすぐの頃、墨田区で発生した薬物による保険金殺人事件で香椎に貴重な助言をし、それからはむしろ香椎との方が接する機会が増えた。また、香椎がスカウトした神御蔵一號に特別な興味を抱き、いつか不思議な手の謎を解明したいと考えている。

    一つの事を立証するまで他の事が目に入らず、上司にも平気でケンカを売る。いつも不機嫌な顔をして、禁煙の部屋でも平気でタバコを吸う(しかもヘビースモーカー)など、横川を褒める者は決して多くはない。だが、その頭脳は折り紙付きであり、香椎とは腐れ縁の付き合いもあって「NPS」を陰から支えていく事となる(ガーディアンの製作もその一つ)。※10巻80話「飛べない天使」参照

    仕事の次ぎに好きなのが美味しい食べ物。特に旬の食材には目がない。香椎の仕事の報酬はすべて食べ物であり、これまでにもシャトーブリアンや高級寿司、蔵玉あがり豚のしゃぶしゃぶなど様々なものを要求してきた。おかげで香椎の財布はいつも寒い……。そして、無類の酒好きでもある。

棟方 ゆづる(ムナカタ ユヅル)

  • 棟方 ゆづる(ムナカタ ユヅル)
  • [年齢] 22歳 [身長]162cm [体重] 45kg [出身] 東京都
    [所属] 関東大学3年生 ※初登場時

    棟方ボクシングジム会長、棟方彬の孫娘。ある日、棟方会長が連れて来た神御蔵一號とは兄妹のようにして育つ。父親の佑介が福岡に転勤が決まり、それに伴い母親の茉貴も一緒に向かった。ゆづるは大学と祖父の世話の為、都内に留まる。※2巻14話「固き結束」参照

    最初は突然現れた一號の接し方に戸惑ったものの、一號が次第に心を開き始めるにつれ、段々と仲良くなっていく。とはいえ、血の繋がった本当の兄とは違い、親戚のお兄ちゃんといった感覚だった。小学校へはよく一緒に通った。家に帰ると祖父にボクシングを習い始め、ロードワークの時は自転車で後から追い掛けた。それが二人の遊びの時間でもあった。

    中学校、高校と軟式テニス部で汗を流す。元々愛くるしい顔立ちのゆづるは、成長するにつれて近所でも評判の美少女と噂されるようになった。当然、男にはモテたが、結局誰一人として付き合う事はなかった。友達から付き合わない理由を尋ねられても、「別に……」としか答えない。本当のところ自分でもよく分からないのだが、なぜか一號の事が心に引っ掛かっていた。その頃の一號はボクシングにまっしぐらでゆづるの事など見向きもしなかったが、その素直な性格と祖父や家族想いの優しさ、そして時折見せる本当の両親への想い(苦悩)が、ゆづるの心の奥底を捉えて離さなかった。

    母親の茉貴がいなくなってからは、ゆづるが棟方家の食事の世話をしている。料理をする事は苦にならず、それ故にレパートリーは豊富。味付けも祖父や一號の舌を唸らせるほどの腕前である。減量に苦しむ一號がなんとか乗り越えられたのも、ゆづるの献身とその料理のおかげだ。現在、大学では栄養学を専攻し、将来は栄養士の道を歩みたいと考えている。

    性格は明るく、そして心配性である。ただ、物事の本質をちゃんと見ており、さりげないアドバイスを送る。一號がボクシングを辞めて警察官になると聞いた時、「やってみなよ」と背中を押したのはゆづるだった。リングで殴り合うボクシングよりも、一號の性格は警察官に向いていると感じたからだ。一號が警察官である事に迷った時も、「一號くんの行動は情がいっぱいだからさ。私は一號くんみたいな警察官いたらいいなって思うよ」、そんな言葉で気持ちを解してやった。※4巻28話「新たなシナリオ」参照 ただ、そんなゆづるも酒が入ると人が変わる。心配性が裏返しとなり、絡むわ、暴言を吐くわ、手に負えなくなる時もある。※7巻56話「あの日の気持ち」参照

    幼き日、ジャングルジムで約束した言葉、それが現実となるかどうか、ゆづるにもまだまったく分からない……。※7巻56話「あの日の気持ち」参照

棟方 彬(ムナカタ アキラ)

  • 棟方 彬(ムナカタ アキラ)
  • [年齢] 72歳 [身長] 169cm [体重] 64kg [出身] 東京都墨田区
    [所属] 棟方ボクシングジム会長 ※初登場時

    まさに神御蔵一號の育ての親である。
    十五年ほど前から定期的に続けていた事の一つに、児童養護施設の慰問があった。様々な理由で親と一緒に暮らせなくなった子供達に、感情と肉体の発散の場を作ってあげたいという想いからだった。ボクシングは身一つで殴り合うという原初的なもの、心も身体も前に突き進まなければ打たれるままになってしまう。最初は眉をひそめた役所の担当者達も、「子供が明るくなった」「沢山、ご飯のお代りをするようになった」という現場からの声を聞くにつれ、慰問先の紹介を増やしていくようになった。

    もちろん、棟方はただボランティアの精神だけでこの慰問を行っていた訳ではない。将来、自分の手で世界チャンピオンを育てたい。そんな野望があったのも事実だ。十年前、「春の家」という養護施設にて一人の少年と出会った。両親を無くし、身寄りのないままここに送られて来ており、三週間、誰とも口を聞いていないという。そんな少年に棟方はミットを見せ、「坊主がこの世で一番キライな奴、そいつを思い浮かべて思いっ切り打ち込めばいい」と語りかけた。少年は堰を切ったように突然叫び声を上げ、棟方のミット目掛けて何度も何度もパンチを繰り出した。子供とは思えない規格外のパンチ、受ける度に棟方は確信する。これは最高の逸材だと……。それが神御蔵と棟方の運命的な出会いだった。※2巻13話「邂逅の時」参照

    見た目は組の親分といった風、口は悪いし大酒飲みで、こうと言ったら誰の言う事も聞かない頑固者である。若い頃から拳闘の世界に浸り、かつては元世界フライ級王者、白井義男とも拳を交えた事もある。しかし、思ったように成績は伸びず、28歳の時に引退。そこから仕事を点々としたが、やはりボクシングの情熱は消えず、50歳を目前にした頃に自分のジムを開いた。

    棟方ジムから念願のチャンピオンを―――。その一念で神御蔵と二人三脚で歩いてきたが、東洋太平洋クルーザー級のタイトルマッチでチャンピオンの東田賢大に敗れる。あとワンパンチでノックアウト寸前まで追い込みながらの敗北だった……。※6巻46話「最後のワンピース」参照 偶然、この試合を見ていた香椎は、神御蔵がわざとパンチを外したように見えた。それはまた、棟方も気付いていた。神御蔵をスカウトにきた香椎に棟方は語る。神御蔵には素晴らしい素質がある。だが、その拳は敵を倒すものではなく、守る為にあるのだと。

    心臓に持病があり、激しい運動と深酒は医者から禁じられているが、今のところ真摯にそれを守っている形跡はない。孫のゆづると息子のような神御蔵の幸せを、心の底で願っている。

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